RESEARCH
バリアーになってしまう?点状ブロックが抱える問題
reseacher : Yuko Shibata
点状ブロックの設置は慎重に!
視覚障害者の安全な歩行を補助する点状ブロック[※1]。突起と色がその先の危険性や進行方向を知らせるという仕組みになっています。視覚障害者の助けになる一方で、むしろその突起が高齢者などのつまづきの原因にもなっており、設置する位置や周囲の配色には配慮が必要です。
画像はとある高齢者施設の通路脇の階段部分。往来の多い廊下から階段最上段を十分にセットバックさせ、廊下のラインに点状ブロックがはみ出さないようにしています。さらに点状ブロックとしっかりと明度差のある床材を選定し、視認性を高めています。建築のしつらえとは別に、右側から来る通行者が直進する際にふいに点状ブロックと足を接触させないように、ベンチが置かれています。
小さな施設では、階段入り口に腰までのゲートをつけて、廊下から階段への落下を防止している施設もよく見かけます。
点状ブロックの設置についてはバリアフリー法だけでなく、福祉のまちづくり条例でも定められていますが、一部の利用者にとっての障害になるという問題はこの法規を運用している行政の一部や日本視覚障害者団体連合についても認知されています。足で検知できる最小限の突起サイズなど、障害にならない点状ブロックに関して研究が進んでいますが、未だ商品化には至っていません。しばらくは点状ブロックの設置に関して安全に利用されるように設計者の工夫と配慮が不可欠です。
※1 正式名称は「視覚障害者誘導用ブロック」。30cm×30cmの大きさのタイルで、突起部分は高さ5mmと決められています。突起が複数ついたシート(ブロック)状になっているものと、突起だけを床に直接設置できるものの2種類の製品があります。